双子

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 小学校にあがってからも桜は明るく元気に過ごしていた。成績が優秀であったり、容姿も可愛らしかったから、学年が2クラス―全員で40人程しかいないこともあって、すぐに人気者になっていた。積極的に目立つことをするタイプではなかったが、自然と周りに人が集まっているタイプの人間だった。反対に裕太は、大人しく引っ込み思案なタイプであった。友達もあまり多くなく、普段は1人でいることの方が多かった。  そんな正反対な2人が双子であることは学年で知られていた為に、比べられることも多かった。特に桜が優秀であったことから、『本当に双子なのか?』とからかわれることもしばしばあった。皆は冗談半分なからかいであったのだが、そのことがきっかけなのか、しばらく裕太と桜はぎこちない関係となってしまった。  でもそんな裕太でも、恵太とは変わらず親しい関係が続いた。クラスは違ったが、ほとんどの時で一緒にいた。  恵太は学年では抜群に背が高く運動神経も良く、既に顔も整っていたことから女子からの人気は高かった。それを鼻にかけて気取る様子もない。だから、彼の周りにはいつも男女問わず誰かがいた。中には裕太と仲が良いことをよく思わず、裕太を悪く言う人間もいたが、恵太はそんなことをは気にすることはなかった。
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