2人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数年が経ち、彼らは6年生になった。幼馴染だからか、気が合うのか、小さい頃と変わらぬ関係が続いていた。
この日も2人は、幼い頃のように遊んでいた。その頃と同じく恵太の家だ。
「なぁ、桜ちゃんってさぁ」
部屋のソファーで漫画を読んでいた恵太が呟くように口を開くと、テレビゲームをしている裕太は、画面の方を見たまま相槌を打つ。これも当時から変わらぬ景色だった。
「好きな人いるんかな」
そう言葉が続くと、裕太のコントローラを弄る手が止まった。その言葉はどうやら想定外の様で、見る見るうちに間に裕太が操っていたキャラは敵からの攻撃をどんどん受けていく。そして間もなくゲームオーバー画面が流れ出した。
「裕太・・・?」
そんな様子をみて、恵太は少し慌てたように本を閉じて再度声を掛ける。我に返った裕太はコントローラを床に置いて恵太の方を見た。
「えっと、桜ちゃんは―」
「お前さくらのこと好きなのか」
裕太は食い気味に聞き返す。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったのだ。恵太は照れたように頭を掻いている。
最初のコメントを投稿しよう!