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恵太と裕太が、2人で桜の話しをしたことは今までなかった。小さい頃は茜や桜本人がいたし、そのあとは裕太と桜の関係がぎこちなかったから、そのことは話しづらかったのだ。
「うーん。そうなのかな」
そうはいっても小学校の、しかも低学年では、その気持ちがなんなのかよく分かっていなかった。そう言った感情が芽生え始めたことに気づき始めたのはごく最近であった。
「はっきりしろよ」
裕太は少し語気が強くなった。少し前くらいから恵太の、桜のことを見る目に違和感を抱いていたのだ。正直裕太もそういう感情をよく分かってはいなかったが、今の恵太の問いで、桜のことを"そういう目"で見ているということはわかった。それが裕太はなぜだか許せなかったのだ。
そんな裕太の反応にたじろぎ、今度は困ったように頭を掻く。
「わかんないけど・・・なんか気になる、みたいな?」
恵太の答えに、咄嗟に言い返そうとした裕太でであったが、すぐに口ごもってしまった。裕太も恵太の感情を理解出来なくはなかったからだ。だが、その相手が桜であるから強くは同意しきれない、なんとも歯痒い状況でもあったのだ。
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