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「なぁ」
その日の夜、居間で2人きりになったタイミングで、裕太は桜に話しかける。一時は険悪であった2人の関係も、完全にではないものの元に戻りつつあった。
「ん?何?」
「えーっと、さくらってさ、好きな人っているの?」
携帯を見たまま返事していた桜は、そう聞かれるとびっくりして裕太の方をみた。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったのだろう。驚きの表情のまま少しの間固まっていた。
「え、なんで?」
やっと我に返った桜は、そう聞き返しながら今度は訝しむ様な目で裕太を見ていた。関係は戻りつつあっても、そういう話を2人ですることは無かった。
そもそも小さいころからそんな話はしたことはなかった。裕太からすれば桜とその様な話しをするとは思っていなかったが、桜もそれは同じだった。
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