双子

7/8
前へ
/22ページ
次へ
 「なぁ」  その日の夜、居間で2人きりになったタイミングで、裕太は桜に話しかける。一時は険悪であった2人の関係も、完全にではないものの元に戻りつつあった。  「ん?何?」  「えーっと、さくらってさ、好きな人っているの?」  携帯を見たまま返事していた桜は、そう聞かれるとびっくりして裕太の方をみた。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったのだろう。驚きの表情のまま少しの間固まっていた。  「え、なんで?」 やっと我に返った桜は、そう聞き返しながら今度は訝しむ様な目で裕太を見ていた。関係は戻りつつあっても、そういう話を2人ですることは無かった。 そもそも小さいころからそんな話はしたことはなかった。裕太からすれば桜とその様な話しをするとは思っていなかったが、桜もそれは同じだった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加