将軍家へ輿入れ

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「富子、今良いか?」 「はい、兄上。」 「御所への輿入れの日が決まったぞ。8月の27日じゃ。」 「おめでとう御座います。姫様。」 「あと一月ですね…」 1カ月後に輿入れか…。 今の私は、何処に嫁へ出しても恥ずかしくないと家の皆に言われているけど…。 相手は私に乳臭い女って言い放ったあの御所様。 油断大敵だわ…。 「そうなれば、輿入れの支度も取り掛からなければなりませぬな、殿。」 「そうじゃな。其方たちにもまだまだ働いてもらうでな。」 「姫様の輿入れとあらば喜んで致します。」 うちの侍女たちは良く働いてくれます。 私たちは幸せものですね。 「では早速じゃが…」 そう言うと、兄上は佳乃に和紙を渡した。 「そこに書いてある物を揃えてほしい。」 「嫁入り道具ですね。畏まりました。」 そう言うと佳乃はいそいそと部屋を後にした。 「兄上、いよいよですね。」 「そうじゃな…。富子、今のお前は後宮仕えさせても恥じぬぐらい、育ってくれた。」 「勿体無き御言葉です。」 「じゃが、相手はあの御所様ぞ?油断するでない。」 「はい!今まで通り、精進して参ります!」 ふふふ、見てなさいよ!御所様! 私を乳臭い女って言った事を思いっきり後悔させてやるんだから! 日野家の執念見せてやるんだから!
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