臨也と京介

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「・・・わかりました。全てを語りましょう、親友として」  唇を噛みどこか悲しそうにする。 「? 全部言ってくれるのは助かるけどね。見たところ君学生だし話はここでいいよ」 「なっ!? こうしてる間にも奴は行動を起こしているんですよ! わかっているんですか!?」 「え?」 「え?」  互いに疑問符を浮かべる。明らかに会話が噛み合っていない。 「・・・ま、特に何してるわけでもなさそうだし注意だけしとくけど今後は気を付けてね」 「はぁ・・・?」 「君が小さい子に半裸で迫っているという通報を受けてね。確かに半裸だけども、どうも子供を狙っているわけでもなさそうだ。俺も昔はそんくらいのやんちゃはしてたもんだよ。生きづらい世の中になったね」 (通報されてたのかよ) 「補導もしないし、学校の方にも連絡はしないよ。ただ紛らわしい行動は避けてね?」 「あ、はい」 「それじゃ、暗くなるし気を付けて帰ってね」 「お、お疲れ様です」  それだけの軽い会話を交わすを警官は去っていった。  だが臨也は解せなかった。なぜ自分が通報されたのだと。  だが割とどうでもいいと切り捨てた。  切り替えの早い男である。 「ハァ、もういいや。帰ろ」  お姉さんもいないし最悪だ。そう心に思い帰宅しようとワイシャツを羽織る。だが、公園の出口に見覚えのある人物がいた。  肩辺りまで切り揃えられた綺麗な黒髪にどこか鋭い目つきをしている少女。先ほど出会った美咲である。 「ちょっと」 「ん、どうした?」  普段の臨也なら出会い頭毒を吐いているのだろうが、今の状態は精神的にも肉体的にも疲労が溜まっている状態ゆえ特に構いたくもなかった。 「アンタ、いい加減にしなさいよ」 「えぇー・・・」  何の脈絡もなしにいきなり切れられる。  そんな酷い事態に臨也はひたすら驚く。なんかもう酷い。 「いい加減にするのはお前のほうでは・・・?」 「まさか、今の京介の状態に心当たりがないとでも言う気じゃないでしょうね?」 「やっべ、心当たりしかねぇ」
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