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「私からもお願いします」
となった。
「はい、取り敢えず診せてもらいますね。」
そういうとアルスは床に近づき首筋に手をあて、脈を測ると口元に人差し指を近づける。
「ふぅん、寝ているだけ、か。
お母さん、水は飲ませたりしていますか?」
「はい。水は唇の隙間から少しずつ注いだりはしていますが食べ物はちょっと・・・」
「なるほど、ありがとうございます。
ところで眠りはじめてから何日経ちますか?
あとその日に何か変わったことは?」
「もう3日になりますかね…
あとその日にミーシャ、あ、その子の名前です、が綺麗な花束をもらったといって喜んでいたのを覚えています。」
「花束、ですか…
お母さん、その花束を見せてもらえますか?」
「え?わ、わかりました。ちょっと待っててください。」
そういうと慌てて部屋を出ていった。
「私もちょっと出させてもらいますよ。」
「あ、どうぞ。」
「じゃあ頼みますよ。」
ふぅ…
人を眠らせる花ってことはサハヌスの花かギルスの花、あと考えられるのは…
「だいぶ枯れかかってますけど…」
お、持ってきてくれたみたいだ。
どれどれ、
「サハヌスの花にギルスの花ですか。なかなかですね。」
「へぇ、そんな名前の花なんですか。けど何か関係があるんですか?
この花のせいで眠ったんだったら私たちもとうに寝てますよ?
と言うか病じゃあなくただ寝てるだけなんですか?」
「あ~、この花は摘んで間もないうちに匂いを嗅ぐと眠ってしまいそのまま目覚めないことがあるんですよ。他にもいろいろ条件があって、そのせいでしょう。
と言うわけで強力な眠気覚ましになるフュキアの木の樹液を煮詰めた嗅がせ薬を嗅がせますね。」
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