ナウサルディアにて

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「なあ、どうやって例の花束の送り主の所に行くつもりだ? 宛先が書いてあるわけでもなし、どうしようもない。」 「心配ご無用。昨日のうちに調べておいたさ。」 なんてアルスは答えたが実際に調べておいたわけではない。 花束に残された魔法使いにしかわからない匂いとでも呼ぶべきもの、まあ力の痕跡を辿っていくつもりである。 「一日で調べてしまったのかい? 君の仕事って一体?」 そう問われたアルスは力なく笑いながら答えた。 「施療師兼占師兼薬師…まあこんなもんかな?」 「相変わらずよくわからんな。 さて、準備も整った。 行くか。」 「了解。」 「おや、どこにお出かけだね?」 「あ、例の花束の送り主の所に行くつもりです。 また同じようになったら大変ですからね。」 「そうだね。じゃあ気をつけて。いってらっしゃい。」 「いってきます。」 「では。」 宿を出ると朝日が二人の目に差し込む。 するとアルスが纏うクェルがさっきまでほとんど黒だったのが鮮やかな深緑だ。 「アルス、そういえばその服は一体?」 「クェルって服。 なかなか着ている人はいないし珍しいと思うよ。 まあポケットにたくさん入るから重宝してる。」 「それにしてもどうやって染めたんだ? 暗い色なのにこんなに鮮やかだしこんな色の染料なんて見たことも聞いたこともない。 それに砂漠の先にあるこの大陸の北のはての絹の国の最上の本綿でさえここまで美しい光沢は持たない。 どうやって手に入れたんだ?」 「まあ確かに光沢はあるけれど…織りかたの工夫かな? 森でとってきた原料を煮詰めて作った染料、それで染めたんだ。 森が近くにないといけないんだ
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