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そういうこと。」
「森が大事なのか?君の仕事とやらは。」
「ま、まあね。
それよりは僕が森に住んでいたからかな?」
突然黒い塊が飛んできてアルスの頭に激突した。
「痛っ!! ネルス!! 何すんだ!!」
とアルスは抗議するが、激突した張本人たるネルス氏は後日、
「俺を置いて二人だけで行こうとするのが悪い。」
と発言したとかしなかったとか。
あまりの痛みにしゃがみこんで頭を押さえるアルスの顔にネルスが爪を掻けようとしたときにはさすがにシルクも制止し、アルスにさんざんお礼を言われていた。
そして三人(二人+一匹?)は花束の送り主のところへと向かう。
「なあ、アルス。
信用していないわけではないが道を間違えていやしないか?」
「大丈夫大丈夫。」
「いやいや、もはや道すらないがこんなところに人がいるのかい?」
と森の獣道を進みながらシルクはアルスに尋ねる。
「誰も人とは言ってない。ただ送り主としか言ってないと思うよ。」
「な!?
ひ、人でないなら一体?
まさか魔物だなんて言いやしないな?」
「そのまさかだよ。
魔物と一纏めに言うが中には人を装うものだっている。
まあそういうやつは人語を解すほど高等な知能を持つから人と争うのを避けて森が切り開かれると森の奥に逃げたりするからあまり知られていないけれど。」
「人から逃げたりする!?
魔物は人を食べると聞いたんだが。」
「なんでわざわざ人なんか。
反撃されるリスクが高い上に栄養価も低く食べにくい。
そんなのわざわざ食べないよ。
縄張りを守るためや繁殖期にテリトリーに侵入してきた人間くらいしか襲わないさ。
まあここ百年来は森が切り開かれ棲みかを無くした魔物が村の作物を採ろうとして戦いになって結果的に村を壊滅させたり街道の旅人の食糧を狙って襲うこともあるみたいだけどね。
だいたい人を食べるならナウサルディアみたいな街に大挙押し寄せれば騎士団でさえ無力なんだ。
そうしない時点でわかるはずなんだよ。」
「言われてみれば。」
「ま、危険なことにはかわりないさ。
さて、ついたようだね。」
二人は巨大なオークの木の前についた。
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