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部屋に入っても、知花さまの脇にピッタリくっついて座る姿に、大澤さまもため息をついている。
「遠い所よくおいで下さいました。
桜介の従妹の花乃と申します」
改めて挨拶をすると、大澤さまが甘い微笑みを浮かべて言った。
「昨日は電話に出てくれてありがとうね~?
桜介…心配だよね……」
「帰ってくると信じていますから。
ご心配下さりありがとうございます」
「う~ん…なんか固いんだよな~」
…桜ちゃんの知り合いとはいえ初対面。
知花さまに対するみたいに話すのは難しいんだけど…
「えっと…大澤さま…」
「それも駄目~!さまは何だか堅苦しいからさ~
せめて、さんにしてくれない?」
「はい」
素直に返事をすると、向こうの方からジトッとした視線を貰った。
「なんで翔の言うことは聞くんだぁ?
俺が何回言っても訊いてくんねぇのによぉ」
「今更変えるのも難しいし…」
あの頃よりは、少し頭が柔らかくなったと思って貰いたい。
それに大澤さん達に対しては、複雑な胸の内なんて無いんだもん。…仕方ないよね?
あたしが心の中で弁解していると、知花さまの隣に座っている小動物が、初めてあたしに向かって口を開いた。
「ぁ…あの、取り乱しちゃってすみません。
十夢さんの喫茶店でウエイトレスしている瑠璃です!」
「ご丁寧にありがとうございます。
…えっと、瑠璃さんってお呼びすれば良いでしょうか?」
だって名字を名乗らないんだもん…
着信を見たから立花さまだって言う事は分かる。
でも…流石にそれを言うわけにはいかないよね……
な、なんでそんなキラキラした瞳で見てくるのかな?
なんか頭を、わしわししたくなってきた…
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