4、小さな手

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たぶん、大澤さんの年齢は桜ちゃん位だと思う。 さて、このちっちゃいのは…? 女子高生…? えっと…なんだか犯罪の臭いがするんですが… あたしが悶々と考えながら、それでもお湯に気を配ってお茶を煎れていると、知花さまが電話をかけ始めた。 「あっ、なっちゃん? 前に言った翔達が来てんだよぉ。なっちゃんも来てくんねぇ?」 何を言われたのか顔をしかめながら、通話を切った知花さまに声を掛ける。 「那月さん来られ無いって……?」 「いや?来るってよぉ?」 なら何であんなに顔をしかめていたんだろ。 まぁ、那月さんが来るなら何でも良いんだけど… 「なっちゃんって……従弟だっけ~?」 「いや、もちっと遠いかなぁ。 じいさんの弟の孫だから……」 「再従弟って事~?」 「あぁ、それだ」 大澤さんに返事をする知花さまの言葉にビックリして、思わず茶漉しを落としそうになった。 「大丈夫かっ!?」 「あっ、大丈夫です。 それより再従弟って…お二人血縁関係あったんですか?」 全っ然似てないじゃんっ! 手を滑らせた性で必要以上に慌てさせてしまったけれど、今あたしはそれどころじゃない! 「そうですよ?知りませんでしたか?」 「ひゃぁあ!」 「色気の無い声ですね」 「…いつから居たんですか?」 知花さまに聞いたのに、直ぐ後ろから那月さんに返事をされて、思わず変な声が出た。 …確かに色気なんて持ち合わせていませんよ。 「十夢から電話を貰ったのは、板場の裏口付近で武さんに捕まってた時ですから。それに十夢が掛けたのは武さんの携帯ですしね、私は持ってませんので。 花乃、頑張りましたね」 武さんに事の真相は聞いたんだろう。 恐怖に震える心を奮い立たせて、決死の覚悟で挑んだ事だったけれど あの後のバタバタに紛れて息をつく暇も無かったと、那月さんの言葉を聞いて涙がこぼれた。 …直ぐに泣くのは卒業しようって、決めたばかりなのに…… 「そんな一気に頑張ったら、いずれ糸が切れますよ。一つ一つで良いんです」 「……うん…」 「今日の一つは、とても大きかったんでしょう? 今は月守旅館の若女将じゃなくて、花乃に戻っていいんですよ」 あなたは、あたしの背中を押してくれて、こうやって甘やかしてもくれる。 回りの人とか、今の状況とか、みんなどうでも良くなって広げてくれた腕の中に飛び込んだ。
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