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「お前ら、何をしている!」
突然の怒鳴り声に、一斉に陣が崩れる。
「君、大丈夫かい?」
警察官が、俺の前でしゃがみこむ。
どうやらカツアゲか何かだと思ったらしい。
「遊んでたら、立ち眩みして……」
咄嗟の言い訳が、口から出る。
「……本当だね……? 夜も遅い、そろそろ帰りなさい」
「はーい」
校庭を出て、歩き始めた。
「なんか、何もなかったよなー」
夏が言う。
「ねー、風が強くなるとか凪になるとかなかったし」
と冬。
「こっちは本当、何もなかったね」
と浩が苦笑いを浮かべ
「警察のが怖かった位だしな」
と達也。
「真ん中は?」
柚希が肩を回してる俺に問う。
「誰か途中から押してただろう?」
「何で?」
「いや、そんな感じがしたから」
「マジかよ。それ」
「いや、マジだから言ってるんだけど?」
「…………俺らずっと手を繋いでたよな?」
「おう」
「だな」
「うんうん」
「だね」
「…………ぇ?」
全身に鳥肌が立った。
「マジかよ」
顔面蒼白な俺を見て、五人が顔を見合わせる。
「ま、でも最後まで行ってないから失敗っしょ?」
「そうだね。鬼とか喚んでたら怖いけど」
「…………そう、だな」
「んじゃ、俺、こっちだから」
達也が手を振る。
「じゃなー」
「んじゃ」
と左折して行った。
「みーつけた」
少年の声が、不意にした。
「…………?」
振り返る。
誰も、いない…………?
嫌な予感がした。
その夜、夢を見た。
俺は走っていた。誰かに追われているのか、はたまた誰かを追い掛けているのか…………。
もう、走れない。そう、思った時、目の前に光が走った。
「ひーとつめ」
少年の声がした。
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