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夢を、見た……。
俺が柚希を追い掛けている夢を。
怯えている柚希を路地裏に追い詰めた俺は、その首を掴んだ。
「いつつめ」
ゴキリと、手に感触が残る。
何処にそんな力があったのか、柚希の首を折ったらしい。
瞬間、痙攣して、彼は絶命した。
「狭い……セマイ……」
「出たい出たい……出たい出たい」
俺が膝を付く。
苦しそうに首を引っ掻き始めた。
「…………」
人を半分も追い出しておいて狭いとは酷いモノだ。
「俺は悪くない悪くないんだ出たい出たい出してくれ俺は出たい狭い出たい出たい苦しい苦しい苦しい苦しい出たい出たい悪くない悪く悪く悪く狭狭狭狭狭」
半分だけはみ出したまま、俺は俺を凝視せざるを得なくなった。
酷く冷静に、俺は自分の人生を諦めた。
だって身体に他に五つも魂を押し込められて、俺自身がはみ出してしまったなら、もう、仕方ないだろう?
(了)
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