ハジマリ

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ハジマリ

 ……~ ♪ また、だ……。微かに聴こえてくるのは、歌のワンフレーズ。なんの曲かも、誰が作ったものかもわからない。でもどこか懐かしく、そして切なくなるようなメロディー。 ただひとつ分かることは、透き通っているのに訴えかけてくるような突き刺さる歌声であること。  「なぁ、____?」 そして、顔はぼやけてよくみえないけど、優しく笑っているようにあたしを見つめて、彼は話す。  「この歌は特別なんだ」 って……。 最初は“そうなんだ。”って頷いてみせることしかできなかった。でも最近は違う。  「……どうして、特別なの?」  「どうしてって……、そんなの決まってる。俺は____のことが…………」 そしてここでいつもこの夢は止まる。そう、これは夢。いつからこの夢をみてきたのかはわからない。物心ついたときから、たまにこの夢を繰り返し見続けてきた。 そしてまた、同じ夢をみて、この先が気になるから同じ質問をして、そして今日も同じように夢が終わる。 そしていつものように、部屋のアラームが鳴る……はずだった。 _
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