僕はいつも通りの日常を送る

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別に窓ガラスを割らなくてもいい。何でもいいんだ。とにかく奇天烈なことをすれば、このつまらない日常が壊れるんじゃないか。壊せなくても、ひびくらいは入るんじゃないか。 しかし、どんな奇天烈なことをしたって面白いのは一瞬だけでそれが過ぎればまたいつものつまらない日常が戻ってくる。それに、窓ガラスを割るなんて奇行に走ったらきっと停学になってしまうし、定額期間が過ぎても高校生活が終わるまで周りが僕を白い目で見るのが目に見えている。 友達を作れば、少しはつまらなくなくなるだろうか。 ……ついバカなことを考えてしまった。今のは忘れろ。僕は友達なんて作らない。いずれは家族や親戚の縁も切ってひとりで生きていくって決めたじゃないか。 ひとりでいる方が楽だ。ひとりでいれば、もう、あの時みたいな思いはしなくて済む。 「………」 ちらっと教室の壁にかかっている時計を見て時間を確認する。休み時間が終わるまであと5分ほどだった。 このまま窓の外を見ていてもよかったが、何となく寝たフリをしたい気分だったのでそうすることにした。 耳にイヤホンを装着。イヤホンコードの先に繋がっているMP3プレーヤーを操作し、お気に入りの曲を大音量で流す。これで外部から聞こえる騒音を完全にシャットアウトする。 僕は両腕を机の上に重ねるように置き、その腕に額をつけ、目を閉じる。 さあ、いつものアレを始めよう。 ~~~~~~~~ 金髪美女。 その存在を君達はどう捉えているだろうか。 髪を金色に染めた美人? 綺麗な外国人? 外国人から見れば、よくある髪色の美しい女性を指すだろうか? 俺はそのどれでもない。俺は金髪美女を神様や天使の生まれ変わりだと考えている。 それは過去に残された絵画を見てもらえれば分かるだろう。世界に名を遺した芸術家達は女神や天使を描く時、ほとんどが髪の色を金色で描いている。 何故金髪が多いのか。たまたまモデルにした相手が金髪だったから? 答えは否。俺はそう思う。な繕マラ数多くの芸術家達が全員金髪の女性をモデルにするなんて偶然があるはずがない。 きっと芸術家達は金色でないと描けなかったんだ。女神や天使が人間とは比べられない格上の存在であることが――『神々しさ』を表現できなかったんだ。
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