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キーンコーン……
その時、イヤホンから流れる音楽に別の音が割って入ってきた。
寝たフリをやめて顔を上げる。すると、さっきまで友達と仲良さそうに喋っていた生徒達は喋るのをやめて自分の席へと戻る。しばらくすると前のドアから先生が入ってきた。
なんだもう授業か。
はあ、と軽い嘆息を漏らす。クラス委員の号令に合わせて僕は椅子から立って、先生に一礼して、また座った。
そしていつものように退屈な授業を受けるのだった。
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さて、さっきのアレが何だったのかについて話そうと思う。一応補足するとさっきのアレとは、事故だとかワルキューレに転生したとかいう話のことだ。
アレは僕の秘密だ。とは言っても現実で起こった話ではない。アレは僕の想像した話で、僕の秘密のある一面に過ぎない。
人間誰しも秘密の1つや2つある。
僕の秘密はエスパーだとかワルキューレに転生したとか、そんな大袈裟なものじゃない。僕にとってはかなり重大だけど、聞く人によってはテストで悪い点数を取ったとか、親家族に黙って高価なものを買ったとか、そんなレベルの秘密。
僕の秘密。
それは――『エブリ☆スタ』という投稿コミュニティサイトで、携帯小説を書いているということだ。
3年前から……14歳の時からそのサイトにお世話になっている。
僕が携帯小説を書こうと思った経緯。それは当時の僕が中二病で、自分の中に湧き上がった馬鹿な誇大妄想を形ある物語にしようと思ったのが始まりだった。
記念すべき最初の小説は中二病の典型ともいえるものだった。僕に似せた主人公がある日突然異世界に行って、目が覚めたら世界最強の力を手に入れていて、向かってくるモンスターやドラゴンをバッタバッタとなぎ倒し、女の子にはモテまくるという学園ファンタジー小説。まさに当時の僕の妄想と願望が全部詰まった小説だった。
その1年後くらいにある出来事があって中二病はずいぶんと改善された。けれどまだ若干引き摺っていて、僕はハンドルネーム『ミノタロス』というクリエイターとして、今でもあの頃と同じようなファンタジー小説を書き続けている。
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