橙色が包み込む音色

偶然と必然の境界線

桜が散りはじめた頃、新学期が始まった。

１年生を部活に勧誘する初めの１週間は学校全体が活気で溢れる。

僕は管弦楽部に所属している。

ちなみにヴィオラだ。

あの少し低めで響きの美しい音色は聴いていて惚れ惚れする。

…なんてことは今はいいんだ。

去年まではあまり人数が多くなかったが、今年はどうだろう。

他の部活の勧誘に混じって声を張り上げる。

元々あまり大声を出さないから少しきついが、この短い期間で勝負がつくのだ。

負けていられない。