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「・・・あっ、おはようございます。 郵便課の高木・・・です。」 出掛ける準備をしながら携帯電話を耳に当てる。 電話を取ったのは、事情を知っている職場の上司だった。 「急で申し訳ありません。 家の事情でこれから役場に行かなきゃいけなくなってしまって・・・。」 こんな事情、他の人には説明したくない。 だけど、話の分かる人が電話に出てくれて内心ほっとしていた。 「ええ・・・。 実は今朝、とうとう主人が出て行ってしまって・・・。 ・・・そうなんです。 やっぱり、離婚する事になりました。」 涙が出そうだ。 でも、何故か泣けない・・・。 「ご迷惑をお掛けしてすみません。 昼までには出勤しますから。 申し訳ありませんが、午前中だけお休みをいただきます。」 電話を切った後、ぷつりと緊張の糸が切れてしまった。 どうしよう。 涙が止まらない・・・。
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