109人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・あっ、おはようございます。
郵便課の高木・・・です。」
出掛ける準備をしながら携帯電話を耳に当てる。
電話を取ったのは、事情を知っている職場の上司だった。
「急で申し訳ありません。
家の事情でこれから役場に行かなきゃいけなくなってしまって・・・。」
こんな事情、他の人には説明したくない。
だけど、話の分かる人が電話に出てくれて内心ほっとしていた。
「ええ・・・。
実は今朝、とうとう主人が出て行ってしまって・・・。
・・・そうなんです。
やっぱり、離婚する事になりました。」
涙が出そうだ。
でも、何故か泣けない・・・。
「ご迷惑をお掛けしてすみません。
昼までには出勤しますから。
申し訳ありませんが、午前中だけお休みをいただきます。」
電話を切った後、ぷつりと緊張の糸が切れてしまった。
どうしよう。
涙が止まらない・・・。
最初のコメントを投稿しよう!