メイドインジャパン

6/8
前へ
/225ページ
次へ
「事故現場を見せてください」 「わかった、沢木君に案内させよう」 概要を説明する菜々子は無表情だった。 装置を取り囲んでいる丸いフライパンの様な物に興味を引かれた。 説明書にはマグネットコイルとある。修復したのか他の場所と色が変わっていた。消防や警察の検証した後が残っていた。 「むき出しになった電子レンジ」 菜々子は眉間にしわを寄せた。 「記者会見でおらが説明したがね。忘れてた。朝暑かったもんね。あたしら地域全体チンされたわけね」 「そう、それよりあんちゃん、あんちゃんに殴られたお陰で記者会見しなくて助かりました」 「なんのなんの、ただ怒りをぶちまけただけです」 この装置が、ただの加速器でないことに気づいた広大だが黙っていた。しかし、菜々子は気付かれと悟った。 修理は夕方終わった。実験用の電源が入ると広大はコーヒーを飲みながら実験室に入った。 飲み終わったカップを実験装置に落としてみた。 案の定カップは弾き飛ばされた。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加