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「事故現場を見せてください」
「わかった、沢木君に案内させよう」
概要を説明する菜々子は無表情だった。
装置を取り囲んでいる丸いフライパンの様な物に興味を引かれた。
説明書にはマグネットコイルとある。修復したのか他の場所と色が変わっていた。消防や警察の検証した後が残っていた。
「むき出しになった電子レンジ」
菜々子は眉間にしわを寄せた。
「記者会見でおらが説明したがね。忘れてた。朝暑かったもんね。あたしら地域全体チンされたわけね」
「そう、それよりあんちゃん、あんちゃんに殴られたお陰で記者会見しなくて助かりました」
「なんのなんの、ただ怒りをぶちまけただけです」
この装置が、ただの加速器でないことに気づいた広大だが黙っていた。しかし、菜々子は気付かれと悟った。
修理は夕方終わった。実験用の電源が入ると広大はコーヒーを飲みながら実験室に入った。
飲み終わったカップを実験装置に落としてみた。
案の定カップは弾き飛ばされた。
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