夜汽車の霊夢

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女の歩みは、並の何倍も遅い。 傍目から見れば、怪しい夜汽車の中でも、特に怪しい人物だっただろう。 実際は腹が減っているだけなのだが。 脇に、酔った一人の少女。 窓枠に空の缶ビールを並べ、ヒョウタンにしゃぶりついていた。 脇に、一組のカップル。 ドギツい全身ピンクの魔女が、白黒の魔女に覆いかぶさるところだった。 さらに行くと、半ば空白の新聞を睨む少女。 なにやら苦肉の表情で、ペンを取り出し書き入れていた。
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