夜汽車の霊夢

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と、女が周囲への注意を散漫にしていると、ふいに耳に痛い音が。 無数の空き缶が散らばった音だ。 見れば、先ほど珍獣を抱えていた少女が、車内を高速で駆け巡っている。 「何してるのちぇん!」 「だってだってらんしゃま、れみりあちゃんが……!」 「ほらほら尻尾でモフモフって、ね…?」 「うるさいですねぇ!人が集中してる時に!」 「へへへ~。お嬢ちゃん、よっぽどあたしの飲み会をぶち壊したいのかねぇ?」 「まま、お二人ともそうカッカせず…!」 車掌の静止もむなしく、車内はみるみる内に騒然としていく。 というか、車掌も酔いが回っており、 なだめようとして媚びた態度を取っているのか、気持ちよくてヘラヘラしているのか謎だ。
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