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ドサッ
予期せぬ衝撃を受け、女は荷物を落としてしまう。
呆然として足下を見れば……
「うー?はしったらあぶないよ、ゆっくりはしろうね!」
奇妙に太ったこうもりを抱き、小さな少女が、女を見上げていた。
その目に一瞬にして涙がたまる。
『ごめんなさい。謝ります退治しないで下さい。
心を鬼にしてこの世の全てを破壊しないで下さい』
そんな事を、暗に訴えていた。
「ちぇん!ほら、こっちに来なさい…」
女に怒りがこみ上げる前に、保護者が滑り込んで、一人と一匹(一匹と一匹?)を持ち去った。
女は無言で荷物を拾う。
女の荷物は二つ。一つはカバン。
そしてもう一つ。落としたのはビニール袋に隠された、箱型のものだった。
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