夜汽車の霊夢

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そこにあったのは、女と同じ紅白。 まばゆい白米と梅干しのコントラストだ。それに茶と緑のおかず。 女の脳に、激流の勢いで血がめぐる。 (定番のだし巻き玉子とかまぼこ) (煮物はカボチャと椎茸、ニンジンか) (きんぴらごぼうに、天ぷら) (漬け物はしば漬け) (そしてなんとも嬉しい存在のうぐいす豆) (ご飯の上には黒ごまと梅干し) (しかし) (これらのおかずがいくら賑やかであっても、メインのおかずの洩矢……) かえる色のなにかが頭をよぎり、女はかぶりをふる。 (メインのおかずの盛り上げ役でしかない)
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