BLOCK-ブロック-

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 警察に押収されたブロックは科学捜査班で調べられることになった。そこでは、ブロックに対する様々な調査がなされた。薬物や放射線など、人体に何らかの悪影響を及ぼすものがないか。だが、それらは何一つ検出されなかった。コンクリートのような素材で造られたブロックであることが明かにされた。これで、マスコミの騒ぎも収まるかと思われた。けれど、そうはならない。ブロックがただのブロックであるのならば、何故、男はブロックにそこまで魅入って死んでしまったのかという、最初の疑問に戻ってしまう。人々の疑問は、その一点に絞られていた。  警察の手ではおえないブロックに対し、国は威信を賭けて、その正体を暴こうとした。何より、政治家達もブロックの正体が気になっていた。ただのブロックであるが、これには、どうも人の気を惹きつける何かがあるようだ。  国の調査機関では、ブロックの性質について調べてみることにした。多種の薬品、光線、放射線などを用いてブロックに何らかの変化が現れないかを調べた。それでも、結果はやはり、ただのコンクリートの塊と何ら変わらなかった。ただ、変わった点があるとすれば、ブロックに様々な薬品を降りかけてみたが、変化がなかったという点だろうか。どんな、強酸や強アルカリ溶液を降りかけても、溶けた様子が一切ない。それどこから、最初と変わらずワックスでもかかっているのか、滑らかなままだ。  科学的調査では、これ以上、このブロックに対する検証結果を出せそうにない。そうなってくると、ここぞとばかりに、あらゆる宗教、心霊など一般では非科学的とか言われて連中が名乗りを上げてきた。それぞれの主張は、神や悪魔などと異なっているものの、その腹の内は同じであった。このブロックを利用して、自分が所属している団体の地位を社会的に確立させようとしていた。うまくいけば、新しい信者と資金を集めることも可能である。
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