BLOCK-ブロック-

4/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 国としては、そのような怪しげなことに、謎が多いブロックを利用させる訳にはいかず、全ての申し入れを拒否して厳重に国の保管庫にしまった。だが、その行為は思わぬ事態を招く結果となった。ブロックが人目に触れられないようにしたが為に、真実を知りたい国民達が、プラカードを手に連日連夜、国会の周りを覆いデモ行進を開始したのだ。煽るのが好きなマスコミやブロックの提出を拒否された宗教団体も、デモの後ろ盾をして、その規模を拡大させた。頼りになる警察も、ブロックの正体が知りたいらしく、その行動に規律性がなく、どこが乱れていた。  政治家に責任ない。彼らだって、ブロックの正体を知りたいのだ。なのに、連日のようにマスコミに無能だ、怠慢だなどと叩かれ続けた。  全てのストレスが頂点に達して、国自体が瓦解するのではないか。無関係な人々の間でも、そんな不安が過ぎる時もあった。しかし、事態は思わぬ形で収束しだした。  他国でも、ブロックが発見されていた。形状、大きさ、重さ、質感。全てが同じ白いブロックが各地で確認された。これまで、発表されなかったのは、この国で亡くなった男と同じく部屋に閉じ籠もり、外部との接触を断っていたからだった。その結果が、誰かが異変に気付くまでブロックの存在は知られることはなかった。  さらに、異変は他にも起こっていた。ブロックの正体が知りたく、デモを起こしていた一部の人々。その数は、少しずつであるが減少していた。初めはデモに飽きたと思われていた。ところが、デモ参加者の自宅を調べてみると、彼らもまた、最初の男同じように外部との接触を断った部屋で死んでいるのが発見された。現場には、例のブロックと同じモノがあった。偶然にしては、あまりにも出来すぎていた。  誰もが、ブロックはただのブロックでないことを悟った。何か、組織的な犯罪にブロックが使われているのではないのか。そう思うようになった。  ブロックについて、もっと本格的な調査を行いたかった。だが、それは妨げられた。他でもない、ブロックにだ。ブロックが次々と、様々の人の元に現れ、自分を魅入らせ、その命を奪っていった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!