1章

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時は平成、春の季節。 例年より長い冬が終わり、桜の花が華麗に舞い散る、そんな4月の終わり。 関東のとある場所にある、私立明陽(メイヨウ)高等学校。 今は授業も終了し、各々部活動に励む声が敷地内に響いていた。 パシ―――――ンッ! 体育館と外廊下を介して繋がる二回りほど小さな建物。 そこからも、ある音が響いていた。 「め―――――――――――ん!」 パシ―――――――――――――ンッッ!!! 「面あり、一本!勝者、浅葱!」 そこは、剣道部の活動場所。 名を『武道館』という。 剣道部員25人(うち女子マネージャー3人)。 ただ今、トーナメント方式の模擬試合の真っ最中である。 審判は、顧問である古谷(コタニ)先生。 先輩 「やっぱ浅葱、マジ強ぇーわ。全国取った奴は違うねー」 誠 「ありがとうございます、先輩」 この者の名は、浅葱誠(アサギ マコト)。 現在、剣道部NO.2の実力者。 副部長になりたての高校2年生。 学業の成績は中の上、運動神経バツグン。 中学3年の時には、全国優勝を果たした。 古谷 「じゃ、最後。決勝は浅葱と、…桃園!」 「「はいっ!!」」 桃園咲良(モモゾノ サクラ)。 誠と同じく高校2年生。 実力は部内NO.1で、現部長。 学年5位以内に必ず入る秀才、運動神経も良い。 これまた同じく、中学3年の時に全国優勝した。 定期的に行われる模擬試合。 決勝は必ずと言っていいほど、この2人が当たる。 そして、結果は……………。 パシ―――――――ン…… 古谷 「面あり!勝者、桃園!」 何故か必ずと言っていいほど、咲良の勝利で終わるのだ。 今のところ、20試合中全て咲良の勝ち星だ。 着けていた面を外しながら、誠が叫んだ。 誠 「だ―――――――っ!また咲良の勝ちかよ!くそっ!」 咲良 「誠、言葉づかい。そろそろ直したら?また受験の時みたいに、苦労するよ」 誠 「っせーよ!俺は、このままでいいんだよ!」 咲良 「……はぁ。普通、女子は自分のこと『俺』なんて言わないよ」 誠 「咲良だって言ってんだからいいんだよ!」 咲良 「そりゃ俺は、れっきとした男だし」 ここで、頭に?が浮かんでいるそこの貴方。 2人についてご説明いたします。
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