13人が本棚に入れています
本棚に追加
時は平成、春の季節。
例年より長い冬が終わり、桜の花が華麗に舞い散る、そんな4月の終わり。
関東のとある場所にある、私立明陽(メイヨウ)高等学校。
今は授業も終了し、各々部活動に励む声が敷地内に響いていた。
パシ―――――ンッ!
体育館と外廊下を介して繋がる二回りほど小さな建物。
そこからも、ある音が響いていた。
「め―――――――――――ん!」
パシ―――――――――――――ンッッ!!!
「面あり、一本!勝者、浅葱!」
そこは、剣道部の活動場所。
名を『武道館』という。
剣道部員25人(うち女子マネージャー3人)。
ただ今、トーナメント方式の模擬試合の真っ最中である。
審判は、顧問である古谷(コタニ)先生。
先輩
「やっぱ浅葱、マジ強ぇーわ。全国取った奴は違うねー」
誠
「ありがとうございます、先輩」
この者の名は、浅葱誠(アサギ マコト)。
現在、剣道部NO.2の実力者。
副部長になりたての高校2年生。
学業の成績は中の上、運動神経バツグン。
中学3年の時には、全国優勝を果たした。
古谷
「じゃ、最後。決勝は浅葱と、…桃園!」
「「はいっ!!」」
桃園咲良(モモゾノ サクラ)。
誠と同じく高校2年生。
実力は部内NO.1で、現部長。
学年5位以内に必ず入る秀才、運動神経も良い。
これまた同じく、中学3年の時に全国優勝した。
定期的に行われる模擬試合。
決勝は必ずと言っていいほど、この2人が当たる。
そして、結果は……………。
パシ―――――――ン……
古谷
「面あり!勝者、桃園!」
何故か必ずと言っていいほど、咲良の勝利で終わるのだ。
今のところ、20試合中全て咲良の勝ち星だ。
着けていた面を外しながら、誠が叫んだ。
誠
「だ―――――――っ!また咲良の勝ちかよ!くそっ!」
咲良
「誠、言葉づかい。そろそろ直したら?また受験の時みたいに、苦労するよ」
誠
「っせーよ!俺は、このままでいいんだよ!」
咲良
「……はぁ。普通、女子は自分のこと『俺』なんて言わないよ」
誠
「咲良だって言ってんだからいいんだよ!」
咲良
「そりゃ俺は、れっきとした男だし」
ここで、頭に?が浮かんでいるそこの貴方。
2人についてご説明いたします。
最初のコメントを投稿しよう!