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浅葱誠 性別:女
桃園咲良 性別:男
この2人、よく名前から性別を誤解される。
そして誤解される要因は、2人の外見にもある。
誠は、少し癖のある焦げ茶の髪を、肩よりも短い位置で切り揃えている。
また、中世的な顔立ちに男勝りな面、言葉使いの荒さから女だと全く気付かれないこともしばしば。
咲良は、癖のないストレートの黒髪を襟足の辺りまで伸ばしている。
整った顔立ち、丁寧な言葉使いや礼儀正しさが相まって、男とは思わずに接する人も居るくらいだ。
2人は似た境遇で、色々と苦労の多い日常を送っている。
さて、話を戻しまして。
先程から、2人は口論の真っ最中。
この2人を止められる者は、古谷先生含め部内には誰もいない。
いや、正確には居なかった。
その時までは。
ガラッ
?
「こんにちは!顔出しに来ましたー!」
建物中に響いたその声に、口論を続けていた2人を含め、全員黙ってそちらの方を向くと。
誠
「咲姉!」
咲良
「……姉貴」
古谷
「桃園!ちょうどいいとこに来た!」
咲夜
「………はい?」
彼女の名前は、桃園咲夜(モモゾノ サクヤ)。
先月まで剣道部部長をしていた、現在高校3年生。
れっきとした咲良の実の姉である。
弟と同じく整った顔立ちに、さばさばした性格。
思ったことは口にするが、しかし決して他者の悪口を言わないことから、男女問わずから人気者である。
ココだけの話、この桃園姉弟にはファンクラブが存在し、かなりの人数が会員で、その中には他校生や社会人まで居るとか居ないとか……。
誠、咲良、咲夜。
この3人は、父親同士が親友でさらに家も近所であるため、幼い頃からの仲、所謂幼馴染の関係なのだ。
誠の両親が家を空けることが多いため桃園家で預かる、という光景は過去何度もあった。
そのおかげか、誠は桃園家の一員と言っても過言ではないのだ。
咲夜
「何?ま~たつまんないことでケンカしてたの?」
呆れたように咲夜が言った。
誠
「違ぇーよ、咲姉!咲良が……!」
咲良
「俺は、正論を言っただけだ」
咲夜
「はいはい、分かったから。んじゃまず、
咲良、謝ろうか」
咲良
「はぁっ!?何で俺が!」
咲夜
「何言ってんのよ。そんなの、
私の誠だからに決まってんでしょ!」
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