Ⅰ プロローグ

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青い空、ぽかっと浮かぶ羊雲の群れ。 生い茂る木々の幹からかいま見る世界は十分綺麗で、輝いて見える。 それが狭い世界だとわかっていても、憧れてしまうのはやっぱり田舎者だからかな? 「あ~あ…」 ため息につられて抱えていた紙包みがずり落ちる。 慌てて抱えなおし、また空を見上げた。 相変わらず青い空に羊雲、春を迎えた木々には新緑が眩しい。 ってぼんやりしてる場合じゃない。 「メディおばさんに薬草届けなきゃ…」 頑丈が取り柄なだけの質素なブーツで歩きだした、その時。 突然吹いた風がレナの茶色の髪を掻き乱した。 そして村の子供たちの悲鳴も。 「な、何?」 この際気まずい顔でメディおばさんに薬草届けるより、子供たちの方に駆け付けた方がいい気がする。  
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