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「そうだよねっ」
誰に向かって言ったか自分でもわからないが、レナは紙包みを抱えたまま走り出した。
声が聞こえたのは村外れの川に行く小道の方だ。
だが行ってみると、小道には女の子が一人立っていた。
「アニー、どうしたの?」
「レナねぇちゃん!」
怖がりなアニーは我慢の限界だったらしく、レナのスカートの裾を握ってすすり泣き始めた。
そんなアニーの頭をなでながら、レナは小道へと足を踏み入れた。
村の女たちが洗濯をするための川で、レナも時折洗濯物の山を抱えて通う小道。
アニーを従えてたどり着いた川のほとりで、レナは思わず言葉を失った。
レナの視線の先、アニーの兄貴分たちがしゃがみこんでいる隣に男が倒れていた。
だが、村の男たちとはかなり異なる印象を持つ男だ。
こちらの足音をききつけて、アニーの遊び友達のニケルとバリスが顔をあげた。
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