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春とはいえ、ほほを伝う風はまだ冷たい。地上に比べると やっぱり少し風が強いようだ。
15年前まで働いていたビルの屋上。知り尽くしている。 こんな時になっても お腹は空くもんなんだな・・・。
換気口からは食堂の今日のメニューだろうか、揚げ物の香りが漂ってくる。
最後の場所にここを選んだのは 空に一番近い場所がここしか思い浮かばなかったからだ。
薄水色の高い空が広がっている。
穏やかな陽ざし。
こんな街中なのに、鳥のさえずりが聞こえる。
目を閉じると子どもの頃大好きだった実家近くの堤防にいるような錯覚にとらわれる。
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