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駆け寄れば青年は荒い呼吸を繰り返しながらも睨んでくる。
青年の後ろには森。ポフッを手を合わせた雅は中に足を踏み入れた。
それを見た青年が慌てたように雅の手首を掴む。思わぬ細さにビックリした。
「おい！その森は危ねぇ！」
「大丈夫だよ。もう悪い子は居ないし！」
青年の苦言に雅は自信満々に言うも手を離そうとしてくれない。
困った雅は青年を振り返りその額に指先で触れた。じわじわと温もりが広がる。
意識が朦朧としてきてその場にガクンと膝を着いてしまう。
抱き止めた雅は彼を森入口の幹に寄りかからせる。側に念のため鷹翅を置いておく。
「さってと、行きますか！ここのこと教えてもーらおっと！」
パタパタと小走りで中に入っていく。薄暗く気味悪い森だが、空気は綺麗だ。
テクテクと中を歩いていれば一匹の真っ白な兎がヒョコッと顔を出した。
雅はパアッと顔を輝かせて駆け寄っていき、その体を抱き上げた。
クリクリとしたまん丸の黒い目が雅を見上げ長い耳がせわしなく動く。
「そっかぁ…じゃあその社まで俺を連れてってくれる？」
雅が問いかければせわしなく動いていた耳が垂れ降りたいともがく。
素直に離した雅はぴょんぴょんと跳ねていく兎のあとをついて行った。
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