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まず青年はニッコリ笑って一人と一匹に向かって深々とお辞儀した。
「まず先に自己紹介しときますね。僕の名前は紅月陽翔。以後お見知りおきを。」
「俺は松木駿。んでこの鷹が…」
『我は鷹翅と申す。そなた、我が声が届くか?』
「大丈夫ですよ。僕にも似たようなのが手元に居ますので。」
頭を上げた青年ー陽翔が名乗れば駿と鷹翅も名乗る。鷹翅の当然といった問いに陽翔は笑顔で頷いた。
一応といった感じで陽翔は自分の隣に赤い毛並みの子犬を出現させた。
陽翔を見上げた子犬はその場に伏せ大人しくしている。
「僕の従者の焔です。どうぞよろしく。」
「で、陽翔さん。コイツが自分の主を姫と呼ぶのにどんな理由があるんだ?」
「その方は恐らく…」
子犬を紹介した陽翔に駿が問い掛ける。眼鏡をクイッと上げ遠くを見据える。
陽翔が口を開き言おうとしたその時、駿の前方、陽翔の右手数十メートル離れた場所から大きな爆発が起こった。
慌てて立ち上がる二人。再び爆発が起こったため二人と二匹は急いでそちらに向かう。
「んげ!なんだよ、コレ!」
「百足…のようですね。大きいですが…閻鞭(エンベン)、具現化。」
見えたのはなにやら家のような物を壊そうと暴れ回っているドデカイ百足。
叫ぶ駿に冷静に返した陽翔は懐から取り出した手のひらサイズの見た目は自転車はハンドルっぽい感じの棒に呟く。
すると現れた深紅の鞭。赤から紅へ、紅から深紅へと色を変える姿は炎そのもの
その武器を見て駿は驚いて目を見開く。
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