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活気溢れる街並みを歩く一人の青年。
彼の名前は夏川 雅(ナツカワ ミヤビ)。亜麻色の髪に同色の瞳、人懐っこい笑顔が特徴的な青年だ。
雅は鼻歌を歌いながら大通りを抜けて宿への道を辿っていた。
歩く度に耳元に飾られた羽根飾りがシャランと音を鳴らしながら揺れる。
背中に背負った細長い袋には彼の両親の形見が入っている。代々守られてきた家宝が…
何度が角を曲がり宿に着いた雅はすぐに部屋に戻った。
そして背負った細長い袋から地図を出して眺める。
「今がこの国のこの街でしょ?んで、ここに向かわなきゃなんないんだから…」
ベッドに地図を広げブツブツ言いながら印してあるところに視線を走らせる。
つい一週間ほど前に雅宛てに届いた手紙。ただ一言、ここに来いとだけ書かれていた手紙は雅が読むとすぐに燃えてしまい、代わりに地図が現れた。
しばらく悩んでいた雅だったが、この街に居ても意味がないとわかっていたため出ることにした。
幸い、雅の家は山奥の中にあり自然や動物たちに守られてきた。
見送りに来ていた山の全ての生き物たちに留守を頼み、雅は故郷を離れた。
そして旅を続けて1ヶ月。ようやく目的地のすぐ目の前の街にまでやってきたのだった。
「何があるんだろう…俺なんかに出来ることなのかなぁ…」
ため息を吐き出し、ゴロンとベッドに横になる。
疲れが襲い、目的地へは明日向かうことにしてはゆっくりと目を閉じた。
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