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そこにパタパタと可愛らしい足音が迫ってくる。思わず身構える二人を鷹翅の興奮したような声が遮る。
『姫!ご無事でございましたか!』
「あ、鷹翅ぇ!お前も無事だったんだねー!あー、良かったぁ!」
『なんの!我に掛かればこれしきのコト!』
「ただ飛んでただけじゃねぇか。」
『なにおう!?』
「まあまあ、倒したんだから良いじゃないですか。」
鷹翅の言うとおり森に入って行った青年だった。記憶と違うのは真っ白な白兎を抱えているコトくらいだろうか。
目の前の青年は驚いたよな表情で駿、陽翔、鷹翅の順で眺める。
駿とギャアギャアと言い合う鷹翅を押しのけその大きな手を握る。
思ったより小さな綺麗な手に包まれ駿の心臓が音を立てて跳ねた。
「お兄さん達すっげー!鷹翅とお喋り出来る人、初めて見た!俺ね、夏川雅ってーの!」
「松木駿…」
「僕は紅月陽翔ともうします。」
「うん!よろしくね、松駿、陽ちゃん!」
ニコニコと無邪気な笑顔で素直に感動している姿は可愛らしく見える。
しかし聞き慣れぬ名で呼ばれ二人の動きが固まる。彼は今、なんと言っただろうか…
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