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一方、外の化け物を全て倒した二人は荒い呼吸を繰り返しながら顔を見合わせた。
「サンキュ!助かったわ。俺は紅月陽翔。あんたは?」
「いえ。私は篠宮雪菜です。よろしく、陽翔さん。」
「おう。」
互いに自己紹介した二人は握手する。とたんに青年ー雪菜の小柄な体が陽翔に凭れかかる。
慌てた陽翔が顔を覗き込めば安らかな寝息をたてながら眠っていた。
控えていた焔と顔を見合わせとりあえず抱き上げて家に向かった。
雪菜を抱えながら扉をノックすれば駿が開けてくれる。
陽翔が抱える少女のような少年のような青年に目を見開く。
そして陽翔の姿にも。整っていた髪は乱れてあったはずの眼鏡がない。
駿は視線に気付いた陽翔は雅の向かいのソファーに雪菜を寝かせ頭らへんの床に片胡座で片膝を立てて座る。
キチンとラグが敷かれているので痛くない。
「座りなよ、松駿。聞きたいことはいろいろあるだろうけど答えられることにはちゃんと答えるから。」
「陽さん…何だよな?」
「そう。どっちかっていうとこっちが素なんだけど…つい初見者にはああなっちまうんだ。前の仕事が執事だったからさ。」
固まっているかのように動かない駿に空いている一人掛けのソファーを示せば雅の胸元あたりの床に座る。
探るような問い掛けに笑顔で答えればもぞもぞと雪菜が動きチラリと見るが起きたわけではないようだ。
納得したようなしてないような曖昧な感じで頷く駿に陽翔は笑う。
そこに玄関の扉が開き誰かが入ってくる。茶金の髪が揺らしトコトコ歩く。
リビングに居る四人を見て首を傾げ…
「こんにちわ…」
ふにゃんと笑いながら呑気に挨拶してきたのだった。
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