第2章

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雅の胸元まである大きな扇子。本来なら片手で扱うのは不可能な代物。 姫巫女のみ扱え、姫巫女が居ないときは直系の家が守ることになっている。 兎を床に降ろしぎゅっと力強く家宝を抱き締めた。 その様子を見た智輝は椅子から降りて背後から雅の華奢な体を抱き締める。 かすかに震える体を自分の温もりで安心させるように。 雪菜も心配そうに近づきながら雅の手を握り締める。 その二人に顔を上げて微笑みかけ目の前のやらかい髪を撫でる。 ふと雅の頭に誰かの声が聞こえてきた。優しく温もりのある低い声。 ここにいる四人の誰のものでもないその声色に思わず顔を上げキョロキョロと周囲を見渡す。 「誰…?」 「なっちゃん?どーした?」 「智ちゃん、ちょっと離して…誰かが話し掛けてきてるの…」 「おう、分かった。」 声に耳を傾けようと頭を抱えた雅を優しく抱き締めていた智輝。 心配する智輝の腕に触れて頼めば腕から解放され声がよく聞こえてくるようになった。 耳元にある羽根飾りに付けた森の社で貰った翡翠の石飾りに触れれば脳内に誰かが入ってきた感覚がしてふわりと意識が途切れた。
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