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四人の考えていることが分かっている景秦は視線を横に動かし外を眺める。
少し離れた場所に見える寂れた街の出入口。活気溢れる街が一転してなった姿。
忌まわしいあの事件は未だに解決しない。当たり前といえば仕方ない。
聖風の姫巫女、そしてその守護者にしか解決出来ないのだから…
再び室内に視線を戻した景秦はこの周辺の地図を取り出した。
といっても雅が持っていたものなのだが…
地図の中心の×印。これが現在地、五人と二匹が居る家。
景秦はその南、正面にある街を指差した。ここに来るため陽翔以外の全員が通った街。
『この街は遥か昔、農業で栄えた街だった。この家があるのは畑の真ん中だ。しかしある時、魔族がここを襲った。初代姫巫女が魔物を封じてから幾千年、突如として起こった悲劇。姫巫女は各地に封印塚を建て、六宝星の形を作った。その中心、王都の大聖堂…封魔大神殿に魔門を封じた。しかし何らかの原因で大神殿の封印が解かれ、再び魔物が街を襲い始めたのだ。』
景秦の言葉をジッと聞く四人。多分、雅も精神世界の中で聞いていることだろう。
しかし陽翔は疑問に思った。大神殿には王家の者と王家お抱えの者しか入れないはずではなかっただろうか。
そう思った陽翔は景秦の方を向いて目を細めながら問い掛けた。
「景秦様、一つお伺いしたいことがあるのですがよろしいですか?。」
『うん?どうした、紅の若造。』
「封魔大神殿は王家縁者とそのお抱えといわれる者たちしか入れないはずではないでしょうか。」
『そうだ。だから我はかつて理を侵そうとした科学者の子孫が封印を破ったのではないかと考えていている。』
陽翔を見た景秦は問い掛けに頷きながら自分の中での仮定を話した。
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