第2章

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雪菜の言葉にぐっと押し黙る二人。そんな二人を見て景秦は楽しそうに笑った。 雅の精神体が戻ったにも関わらず外見に変化がない。 四人は訝しそうに景秦を見つめた。 『今も昔も変わらず問題児だな、闇の守人。お前の祖先もそんな態度で水の歌姫に怒られておったわ。そして止めるのはいつも紅の若造と光の舞姫の2人。変わらんのぉ。』 「待って下さい。陽さんの若造は分かりますが駿くん、青山さん、私の呼び名はどういう意味ですか?」 『神の間での通称だよ。風の姫巫女とともに在りし宿世(スクセ)を持つ四人の青年。水を操り時に歌声で人々を魅了する歌姫。火を制し時に全てを焼き尽くしてしまう番人、紅の若造とも言う。光を纏い時に柔らかく時に鋭き稲妻のように舞う舞姫。闇に溶け時に全て虚無へと誘う永久の守人。』 クスクスと笑いながら四人に告げる景秦の顔は本当に楽しそうに笑っている。 それに対し不思議に思い問い掛けた雪菜の方を向いた景秦が答える。 再びポフンと可愛らしい音がして景秦の手のひらに雅が現れる。 景秦を見上げた雅をヒョイッとつまみ上げた駿は手のひらに乗せ外に向かう。 追いかけようと腰を浮かせた三人を景秦の柔らかい声が引き止めた。 『守人が姫巫女を再び傷付けることはあり得んよ。常に側にあり姫巫女を守ってきた男なのだから。』 「でも…なっちゃんの意見をきーてないのに連れてった!」 『姫巫女はあれくらい強引でないとゆうことを聞かないくらいにお転婆だったからな。』 智輝が頬を膨らませながら訴えれば景秦は昔を思い出すように言った。 そして三人を見ながら思う。昔と同じように三人とも姫巫女を後生大事に守っている。 姫巫女に対する呼び方は違うものの態度に余り変化がない。 もう遺伝子レベルにまで染み込んでいるのだろうなと景秦は悟った。
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