第2章

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それをキッチンで聞きながら雪菜と駿は苦笑いを浮かべる。 二人の手元ではすでにいくつかの料理が出来上がっていた。 たっぷりのサラダと魚介のマリネ、サンドイッチにチーズと二種のクラッカー。 雅リクエストのベリットチキンを仕上げながら雪菜に運ぶように言う。 「篠、運んでくれ。あとはベリットチキンと鮭のムニエルだけだから。」 「分かりました。」 頷いた雪菜は料理の皿を持ちリビングに運んでいく。 レストランで並ぶような料理がくれば三人は歓声を上げる。 その様子に笑みを浮かべた雪菜は未だキッチンにいる駿の元に戻る。 ベリットチキンを揚げ終わり五枚の皿に乗せられたら鮭と彩りの綺麗な野菜。 それに掛けられたクリーム色のソース。あまりに綺麗なため雪菜は軽く息を詰めた。 「篠?どうした?」 「駿くん、料理の腕ありすぎです…」 「ま、あの手紙が来るまでレストランの厨房で働いてたからな。ホラ、食うぞ。」 「はーい。」 ため息を吐き出す雪菜に不思議に思って問い掛ければ唇を尖らせながら言われる。 それに苦笑いを浮かべながら返せば驚いたように目を見開く。そんな彼を促しリビングに向かった。 素直に頷いた雪菜は料理の皿を持ってリビングに駿とリビングに戻る。 「お待たせ。智さんリクエストの魚料理と夏リクエストのベリットチキン。」 「おぉ!松駿すげぇな!」 「スッゴーイ!チョー美味そー!」 目の前に料理を並べれば目を輝かせながら声を上げる三人。 その様子にホッと一息つき温かいうちに食べてもらえるようにお願いする。 冷製料理以外は出来立ての温かいのが一番美味しいのだ。
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