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ベッドの上で布団にくるまりいまだに睡眠を貪るように眠る少女のように愛くるしい存在。
明るめの茶髪でのアッシュ。幼い寝顔は純真無垢。
その周りにあるのは無残な形で命尽きた者たちだった塊。
小さな寝息をたてる彼だったが耳元で鳴ったアラーム音に目を擦る。
「もう朝か…」
華奢な体を起こしグッと伸ばしてから部屋の片付けを始める。
その存在の名前は篠宮雪菜(シノミヤ ユキナ)。歴とした男性である。
雪菜はふぁ…ともう一度欠伸を漏らしながら片付ける。
ゴミ袋に入れ、掃除をして赤に染まった手を洗い流してから着替え家を出れば近くのゴミ溜めにゴミ袋を投げ捨ててから町に出る。
「さて…気乗りしませんが行きますか。」
もう誰も居ない我が家に別れを告げて手元を見る。腰に収まるトンファーを撫でながら古びた地図を眺めた。
数日前に届いた手紙。読み終えると同時に燃え地図が現れたのだった。
寂れ、誰もいなくなった街として有名な場所の外れにバツ印。
雪菜は楽しそうに口元を緩めながら歩き出した。
「んふふ、強い人は来るんですかねー?」
萌え袖になっている服で口元を押さえながら呟く。
相棒だけ片手に雪菜は旅に出た。
目的地同様…いや、それ以上に寂れた街として有名な故郷から。
見送るモノなど居ない中、ゆっくりとのんびり歩いていく。
目的地はもうすぐそこにあるのだから…
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