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寂れた街中をカツカツと音を立てながら歩く青年。
彼の名前は松木駿(マツキ シュン)。黒い眼帯に黒い髪、同色の瞳。一見、近寄りがたい空気を醸し出している青年だ。
駿は片方しか出てない目を走らせ周囲の状況を探る。
彼を取り囲むようにジリジリと近寄ってくる男たち。建物の上にも数人いる。
ため息を吐き出しながらコートの下にしまっていた相棒を取り出す。
「本、だと…!?」
「ただの本じゃねぇよ。」
駿が取り出した本を見て囲んでいた男たちがざわめく。
それに対して一蹴し笑みを浮かべながら本を開いた。
そのページに描かれている絵に触れる。
『我と血と魂の契約を結びし永久なる命をもつモノ、もの、物。汝を封じし本より目覚めよ。』
絵に触れたまま代々伝わる封印解除の真言を唱える。
それと同時に右目の眼帯を外し、ゆっくり目を開いた。
現れる深い紫色の瞳。それを見た男たちが再びざわめく。
その瞳の色は魔力を持つ者の証だからだ。
「貴様、もしや…」
「目覚めよ、シエル!我に仇なす者らを滅せ!」
『御意。』
隊長格の男が口を開くがそれを遮るように駿は命を下した。
命に応じて本から小さな光の球が表れ駿の前に来るとだんだん人形を形造る。
出来上がったのは戦闘能力にたけた魔族、エルフ族の男。
現れた屈強なエルフの男に男たちは次々に倒されていった。
全て倒したシエルは駿に頭を深く下げ再び本の中へと戻っていった。
本を閉じ懐に閉まった駿はまっすぐ街の外れを見つめる。
駿がいるこの寂れた街の外れ。それが地図が示す目的地なのだ。
口元に笑みを浮かべ眼帯を結び直しながら歩き出した。
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