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寂れた街中に響く上機嫌な鼻歌。
それを歌っている雅が跳ねるように歩けば耳元の羽根飾りが音をたてる。
「だっれもいなーいっ」
街の中心部らしき場所で思わず声を上げれば周りを囲まれる。
キョトンとして見渡せばその大きな瞳をパチパチと瞬かせる。
武器を構えにじり寄ってくる男たちにますます首を傾げる雅。
とりあえず背中に背負った袋を掴む。
敵かどうか分からないためやり返して良いのか判断がつかないでいた。
首を傾げながら考えていればいきなり向かってくる男たち。
慌てた雅はタンッと地面を蹴り飛び上がる。そのまま空中で一回転して降り立った時には身の丈の半分程はありそうな扇子を持っていた。
ざわめく男たちににっこりと笑いかけバッと扇子を広げる。
描かれた絵は月と兎と天女。あまりに美しさに一瞬、見惚れてしまう。
その一瞬の隙を見逃さず、雅は扇子を大きく左右に凪いだ。
男たちを襲う突風と痛み。体中いたるところに切り傷が出来ている。
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