コンビニ

3/17
前へ
/27ページ
次へ
 「お帰りなさい」  嬉しくて思わず抱きしめて、彼女の唇をオレの唇で塞ぐ。  んーっ!  彼女は、全力でオレに抵抗してオレは、仕方なく離れた。  「もう、火が点けっぱなしなのっ。狭いキッチンで危ないでしょ!」  「……はい。キミは、時々まるでオレの母親か姉みたいな口調になるよね」  ちょっとおとなしく返事をしてから、オレは拗ねた口調になる。……こういう所がダメなのか?  「あなたが子どもっぽいから、ちょうど良いでしょ」  オレは、気恥ずかしくて彼女の名前を呼べない。いつだってキミと呼び掛ける。彼女は、そんなオレが名前を呼んでくれない限り、自分も呼ばないのだと、あなたと呼ぶ。  よそよそしい。と思うべきか。夫婦みたいに、親密な関係。と思うべきか。  オレが名前を呼ばないと、その答えも解らないに違いない。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加