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「お帰りなさい」
嬉しくて思わず抱きしめて、彼女の唇をオレの唇で塞ぐ。
んーっ!
彼女は、全力でオレに抵抗してオレは、仕方なく離れた。
「もう、火が点けっぱなしなのっ。狭いキッチンで危ないでしょ!」
「……はい。キミは、時々まるでオレの母親か姉みたいな口調になるよね」
ちょっとおとなしく返事をしてから、オレは拗ねた口調になる。……こういう所がダメなのか?
「あなたが子どもっぽいから、ちょうど良いでしょ」
オレは、気恥ずかしくて彼女の名前を呼べない。いつだってキミと呼び掛ける。彼女は、そんなオレが名前を呼んでくれない限り、自分も呼ばないのだと、あなたと呼ぶ。
よそよそしい。と思うべきか。夫婦みたいに、親密な関係。と思うべきか。
オレが名前を呼ばないと、その答えも解らないに違いない。
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