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ブーッ。ブーッ。ブーッ。
ケータイのバイブ音が聞こえて、ハッとする。電話だ。慌てて着信相手を確認すると、先輩からだった。
「も……もしもし!?」
ちょっと裏返った声にオレ自身が驚く。深く考えていた所へ、電話がかかって来て、動揺したのか。
先輩からの話の内容は、仕事の話だった。オレはアイツの事も彼女の事も、一旦忘れて先輩との仕事の話に夢中になった。
電話を切ると彼女が心なしか怒っているように見えた。
後ろからギュッって抱きしめると、彼女が嫌がって身を捩る。
「キミ、怒っているの?」
「知らない!」
……完璧に怒っている。
「ええと……話、なんだっけ……?」
オレは慌てて機嫌を取ろうと、そ、そうそう!と口にした。
「あれだ!誕生日プレゼントの話!」
彼女の表情が更に怒りでパワーアップする。
「その話、もうとっくに終わってる」
……アレ?
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