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確か、その話を彼女がしていて、相槌を打っていたはず、だけど。
……その後の記憶が無い。ヤバい。
彼女をそっと窺うと、冷たい目を向けられた。
ゴクン。
上司に睨まれた時と同じ怖さに匹敵する。こういうの、何て言うんだっけ……?
ああ、そうだ。蛇に睨まれた蛙。
まさしくそんな心境で、オレは彼女の機嫌を取るべく、必死で彼女の話を思い出そうとする。
でも。ちぃっとも思い出せない。
冷や汗が出て来た……
彼女の視線が更に冷たく突き刺さる。
イタイ。
誤魔化そうとしたオレは、もう冷めきったコーヒーを一気に飲み干して――
ゲホゲホゲホッ。
盛大に噎せた。
「なっ……か、辛いっ」
彼女が抑えきれない、というように
アハッ。アハッ。アハハハハ
――声を上げて笑い出した。
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