狐の想い、桜の雨に変えて

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互いを慈しむ心。 互いを愛する心。 龍はそれを、狐に与えた。 狐は知った。 かつて自分を追い込んだ未知なる力の根源、そしてその根源を植えつけられていたことに。 狐は龍に願いを込めて、花弁を舞い上がらせた。 狐の心の証を。 龍、そして狐は…… 最後、互いに声を発した。 ―愛してる― 強く強く発せられたこの言葉は、この世で最も重く……そして深い。 龍は鳴く。狐の為に飛翔し続けると。 狐は鳴く。泣かずに上り詰めろと。 慈愛を持った狐は…… 龍の手を離れ旅立った。 けれど、きっと…… 忘れないから。 『愛』という真実の欠片が心に残っている限り… 二匹を繋いでくれるから。 だから……… ―さようなら― 私の………愛しき龍よ…… ~fin~
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