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全ての記憶を思い出す前、一番印象に残っていた唯一の記憶。
それは自分が、愛する誰かに看取られて静かに眠ったことだった。
悲しみはなく、安らぎの感覚しかなかった。しかし、それは自分の身勝手な感情でしかないと気づいた。
李弧は言う。
一度眠りを看取った相手と、また同じように歩めるのか?と。
悲しませておきながら、勝手に消えておきながら……
その『何処かの誰か』を愛する資格があるのか?と…
李弧「それならばいっそ……あえて思い出さず、胸に秘めて…誰かも分からない人を愛そうと決めたわ。……無駄な足掻きではあったけど、ね…」
劉備「…………」
劉備は、李弧がそれだけ自分を愛していてくれていたのだと知った。
名さえ忘れた自分を、それでも愛し続けた李弧。
その想いに応えるのは……
自分しかいない……
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