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椎木には以前から怒りを持っていた相手と友情が芽生えることが理解できない。
そのため、彼は今回のテストが芳しい結果に終わらなく、珍しく荒れていた。
「何であんな問題が出るんだ……」
イライラがつのり、椎木は一人愚痴った。
なんでもない独り言だったが、反応する声があった。
そして彼は憂鬱になる。
その声には聞き覚えがあった。
「あれ、敬、どうしたの?」
椎木が振り返るとそこには夏であるというのに涼しさを振りまくような爽やか系イケメンが。
「はぁ……」
「ため息つかれた!?なんで!?」
「なんでもねーよ」
どうしてこうもめんどくさいんだろう。
こんなにも俺は平穏を望んでいるというのに。
天上にいるかもしれない神様に文句をたらす。
このイケメンは椎木の数少ない友人の一人だ。名を祈誠汰(いのりせいた)という。
「うーん、敬不機嫌だね。……もしかして、テストが悪かったの?」
「まぁな、国語意味わからん」
「そうかな?今回簡単じゃなかった?」
「……意味わからん」
祈は簡単に言えば『ファンタジーの勇者』タイプだ。
何でも人並み以上にすることができ、それを驕ることがない。当然、人望も厚く、色々な点で椎木とは正反対な奴だった。だからこそ椎木は祈を親友と思っていて、祈も椎木を親友と思っていた。
「あ、そうだ。敬って、心境読み問題苦手でしょ?」
「……そんな訳ないだろ」
「そうだよね、敬はあーゆう問題苦手そうな顔してるもんね」
「俺の顔はそんなに非人道的か」
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