きべんのはじまり

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 がさがさ、と後ろの草むらの中から這い出てくる小柄な影があった。 「よいしょ、よいしょ……っと、はい!」  ばばーん、と効果音の付きそうな格好でポージングしているのは、ややだぼついた感のあるセーラー服に身を包んだ少女。  これは、薪宮美佐(まきみやみさ)という少女だ。何を隠そう、椎木の数少ない友人である。 「じゃじゃじゃーん、薪宮美佐ここに見参!」 「…………。」 「あ、無視ひどい。ちゃんと、こみゅにけーしょん?こみにゅけーしょん?……ま、いいや。……をとりましょう!」  大仰だ、とでも言って貰いたいのだろうか。 「はいはい、とりあえずこの縄切れ」 「えー」 「えーじゃない」  こいつに不服を言う権利があるのだろうか?いや、無い。 「しょうがないなー」  そう言いつつ、薪宮は鋏を取り出し、ちょきんちょきんと心地よい音をたて縄を切っていく。 「何でこんなことをした?」  椎木は尋問に入ることにした。 「ケイの反応が見たかったからだよ?」 「…………」 「あ、無視ひどいたっ!なんで叩くの!?」  正直叩かれるのは当然だ思う。 「お前、やりたいからってこんなことやってると将来やっていけないぞ」 「大丈夫だよ、こんなことできるのはケイしかいないから…って痛っ!だからなんで叩くの!?」 「……はぁ……」
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