3人が本棚に入れています
本棚に追加
がさがさ、と後ろの草むらの中から這い出てくる小柄な影があった。
「よいしょ、よいしょ……っと、はい!」
ばばーん、と効果音の付きそうな格好でポージングしているのは、ややだぼついた感のあるセーラー服に身を包んだ少女。
これは、薪宮美佐(まきみやみさ)という少女だ。何を隠そう、椎木の数少ない友人である。
「じゃじゃじゃーん、薪宮美佐ここに見参!」
「…………。」
「あ、無視ひどい。ちゃんと、こみゅにけーしょん?こみにゅけーしょん?……ま、いいや。……をとりましょう!」
大仰だ、とでも言って貰いたいのだろうか。
「はいはい、とりあえずこの縄切れ」
「えー」
「えーじゃない」
こいつに不服を言う権利があるのだろうか?いや、無い。
「しょうがないなー」
そう言いつつ、薪宮は鋏を取り出し、ちょきんちょきんと心地よい音をたて縄を切っていく。
「何でこんなことをした?」
椎木は尋問に入ることにした。
「ケイの反応が見たかったからだよ?」
「…………」
「あ、無視ひどいたっ!なんで叩くの!?」
正直叩かれるのは当然だ思う。
「お前、やりたいからってこんなことやってると将来やっていけないぞ」
「大丈夫だよ、こんなことできるのはケイしかいないから…って痛っ!だからなんで叩くの!?」
「……はぁ……」
最初のコメントを投稿しよう!