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『ふう…危なかった…』
無事屋根の下に入った私は濡れてしまった服をタオルでふいていた。
『あっ!せっかく甘味屋にきたんだし、何か食べよう!』
私はドアを押した。
―・*・―・*・―
チリン、チリン
『わぁ…!!』
店の中に入るとまず目に入ってきたのは、おしゃれなガラスの水槽に入った金魚だった。
『綺麗…』
「いらっしゃいませ。」
『えっ!?』
「すみません。脅かすつもりは…」
『いえ!!私も悪いので!…それよりもこの金魚鮮やかな赤色ですね!』
「えぇ。綺麗でしょう?友人から譲り受けた物なのです。」
『へぇ~!そうなんですか!』
…いけないっ!本題を忘れてるっ!!
『あの~此処って甘味屋ですよね…?』
「はい。そうですよ。」
『あの、和菓子が食べたいので、注文してもいいですか?』
「はい。もちろん。では、お好きな席へどうぞ。」
『はい!!』
う~ん。どこに座ろうかな…あっ!あそこにしようっ!
私が選んだのは窓際の席だった。
「ご注文決まりましたか?」
『えっと…』
お品書きを見る。
『じゃあ、饅頭一個お願いします!』
「はい。以上でよろしいですか?」
『はい!!』
「あと…名前を教えて頂けませんか?」えっ!?甘味屋って頼む時名前言わなきゃいけないの!?
『何故ですか?』
私は思わず言ってしまった。
「実は、この店に来る方は必ず、歴史上で重要な役割を果たした偉人の生まれ変わりなんです。」
『えっ…!?それってどういう意味…』
チリンチリン
店のドアが開いた。
「ふぅ。まさかいきなり雨が降ってくるとは…おかげでびしょびしょだ。」
お客さんか…此処の店案外人気店なんだなぁ…こんな雨の中来るなんて。
「あら。いらっしゃいませ。桂さん。大丈夫ですか?」
…ん?今「桂さん」って言った!?
「あぁ。…橘さん。あなたの横にいる女の子は誰だ?新入りか?」
「えぇ。ついさっき来られたばかりですよ。」
「君。名は何と言うんだ?」
私!?
『私…ですか…?』
「君以外にいないだろう。」
名前教えちゃって大丈夫かな…ええい!どうにでもなれ!
『吉田…鈴…です。』
「鈴か。いい名だな。私の名は桂一樹だ。これからよろしく頼む。」
『桂一樹さんですね。よろしくお願いします!』
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